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アニメとかビジネスの話

趣味でアニメビジネス研究をしている人の雑記帳です

ReLIFE、もう最終話まで全話見れるってよ

近年、動画配信市場は急激な成長を遂げている。

 

特にアニメは配信を用いた展開が積極的に行われており、2.3個の配信サイトを利用するだけで今期放送されるアニメをほぼすべて網羅することが可能なほどだ。

僕はTOKYO MXが映らない地域に住んでいるので、アニメ視聴はインターネット配信に頼りっきりだ。

 

さて2016年夏アニメには、動画配信を活用してユニークな作品展開行っているアニメがある。
それは、web漫画配信プラットフォームcomicoにて人気を集めてアニメ化がされた、
ReLIFE(リライフ)という作品だ。

今回はReLIFEにて行われている取り組みについて見ていこうと思う。

 

ReLIFE 1【フルカラー】 (comico)

 

 

ReLIFEとcomicoについて

取り組みの説明の前に、まずはReLIFEという作品とcomicoについて説明しようと思う。

ReLIFEとは、夜宵草氏によって2013年10月からcomicoにて連載されている学園漫画だ。


あらすじは以下の通り。
新卒で入った企業を3ヶ月で退職し、コンビニでアルバイトをしながら就職活動を続けている27歳の男の前に、リライフ研究所の職員と名乗る若者が現れる。彼いわく、1年間のニート社会復帰プログラムに参加すれば、就職先を紹介するという。背に腹は変えられない主人公は彼の提案に乗り、"1年間の高校生活”を送ることになる……

 

ReLIFEはcomicoのサービス開始当初からの連載漫画の一つで、人気を集めている看板的な作品の一つだ。コミックスも刊行されており、既刊5巻で、2016年7月からはTVアニメが放映されている。

 

そしてcomicoとは、NHNcomicoが開発運営する、無料漫画、小説アプリである。スマートフォンなどでも読みやすいように縦スクロール、フルカラーが基本となっており、これまでの漫画の常識を覆す、デバイスに合わせることに徹底したプラットフォームとなっている。

www.comico.jp

また、公式作品としてプロの作家による作品が毎日更新されるだけでなく、アマチュアの一般ユーザーによる投稿も受け付けており、中には一般ユーザーからプロデビューする例もあるなど、comicoオリジナル作品の囲い込みも行っている。

こうした無料漫画アプリは広告収入によって運営されていることが多いが、comicoでは広告収入を活用せず、IPの運用によって収益を生み出している。連載作品の書籍化やグッズの販売、メディアミックスなどを積極的に行うことによって、広告に頼らない運営を実現させているのだ。

 

今期は、前述したReLIFEだけでなく、ももくりという作品もメディアミックスとしてテレビアニメの放送が開始している。プラットフォーム運営にとどまらない、柔軟なビジネスを展開しているようだ。

 

comicoアプリによるワンストップな展開

こうしたcomicoの姿勢は、ReLIFEの展開においても表れている。
なんと、comicoアプリ内でアニメ本編を視聴できるのだ。しかも、課金を行えば最終話まで今すぐに視聴することもできる。

さらに、ラジオをはじめ、ボイスドラマや楽曲配信など、様々なオリジナルコンテンツもcomicoアプリ内で楽しめ、一つのアプリ内でReLIFEというコンテンツに関するあらゆることを完結させているのである。既存のcomicoユーザーを囲い込むだけでなく、アニメからReRIFEを知った人に対してcomicoへの導線としても機能している。プラットフォームを生かした大変効果的な戦略である。

 

動画配信のビジネスモデル

こうした展開がビジネス的にどんな意味があるのかは、一般的な動画配信ビジネスのモデルを知ることで理解が深まるだろう。

 

動画配信のビジネスモデルには幾つかのタイプが存在している。


一つは、広告収入によって収益を賄う仕組み。動画の前後や途中に広告を挟み込み広告収入を得ることで、視聴者は無料で視聴することができる。民法公式のテレビポータルTVerなどが例に挙げられる。

二つ目は、定額料金を支払うことで見放題となる、いわゆるサブスクリプションと言われる仕組み。HuluやNetflixdアニメストアなどが例に挙げられる。

三つ目は、作品ごとに課金する都度課金と言われる仕組み。視聴できる期間が限定されているレンタル方式や、作品をダウンロードすることのできる購入方式などが存在している。AppStoreやGooglePlay、Amazonビデオがこうした仕組みを採用している。

 

このうち、作品ごとに課金をする都度課金システムは、率直に言って割高感が否めない。サブスクリプションサービスは様々な作品が見放題で月400~1500円ほどであるのに対し、都度課金は作品1話ごとに200円~400円ほどと、多くの作品を視聴するとなると割高に感じてしまうのは仕方ないだろう。


それに、作品の熱心なファンはわざわざ都度課金を利用するようなことはなく、後ほど発売されるBDなどのパッケーズを購入するため、ますます都度課金の存在意義が危うい立場になってくる。

 

しかし、都度課金は収益率が高い。だいたい、購入金額の50%ほどが利益になるらしい。製作者的には都度課金は非常に魅力的なビジネスだ。
とは言うものの、都度課金はメインターゲットとなるコアなファンはほとんど利用しない。なぜならば、コアなファンは最速で楽しむためにTV放送を視聴し、見逃してしまった場合でも録画をしていることが多いからだ。また、後ほど振り返って見たいときはブルーレイなどの映像パッケージを購入するので、なおさら都度課金を利用することは少ないといえるだろう。

 

「誰よりも早く見たい」という欲望

だが、ReLIFEでは、1話のTV放送開始時点で最終話まで先行配信することで、コアなファン対して都度課金で作品を視聴する理由を提示した。売上の多くを占めるコアなファンに都度課金を利用してもらうことができれば、大きな利益を得ることができる。
彼らのモチベーションとなっているのは、「誰よりも早く見たい」という欲望だ。誰しも好きなものは一番に楽しみたいという欲望を持っている。そのため、先行試写会などには多くの応募が集まるし、TVアニメでは深夜にもかかわらずリアルタイムで視聴することを主義としている人もいる。


そうした欲求にストレートに答え、かつビジネスとして成立させたのがこの度ReLIFEで行われた最終話まで先行配信である。ユーザーにとっても、ビジネス側にとっても双方に利益をもたらす素晴らしい取り組みであるといえるだろう。

 

放送までにバッファを持つべき理由

だが、こうした取り組みは誰でも簡単にできるかといえばそうとは言えない。なぜならば、アニメの制作現場では常にスケジュールが詰まっており、最終回の放送に合わせたスケジューリングになってしまっているからだ。ReLIFEで行われた最終話まで先行配信を行うためには、放送開始時点で最終話まで納品出来なければならないため、既存の制作体制ではなかなかハードルが高いと言わざるを得ない。

 

それでも、放送開始までに時間的余裕を持つことができれば、作品の展開における自由度をいま以上に高めることができ、ひいては作品の売上をより大きくすることができるだろう。
ReLIFEのように先行配信を行えば、普段はあまり利用されない都度課金による配信の付加価値を最大化することができるし、海外への配信を行うのなら字幕をつける余裕も生まれる。


特に、Netflixを始めとした動画配信サイトと配信契約を結ぶ場合、配信日の数週間前〜数ヶ月前に納品することを求められる為、放送スケジュールに余裕を持って作品を完成させておくことは必要不可欠だ。巨大なプラットフォームを用いる場合なら全世界に配信することも視野にいれることが可能となる上、契約料によって制作費の一部を賄うことができるかもしれない。
その他にも、劇場などで先行上映イベントを行うことでさらなるビジネスの機会を創出することが出来たり、放送のタイミングに合わせたグッズ展開を行うことができるなど、様々なビジネス展開を期待することができる。

 

映像パッケージ市場が縮小傾向にあるといられる昨今、パッケージの売上に頼らないビジネスが模索されている。そういった意味でも、放送開始までにある程度バッファを持って作品を完成させることが、今後求められていくのではないだろうか。

 

 

 

 

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